警告!!このページはマニュアル等を参照した整備の模範的要領ではなく,自分の行った自己流整備の記録です。船外機の整備ミスは命に関わるという事を忘れずに,できるだけプロに任せる事を強くお勧めします!このサイトを参考にした結果による,いかなる事態にも責任は負えません!

船外機のプロペラシャフト部のオイルシール

「プロペラ周辺の整備」を見て頂いた方は,もうお分かりだろう。

私が所有している船外機のプロペラシャフトの付け根から,ギヤオイルが漏れてきた・・・。

船外機では,意外と多いトラブルみたいだ。

オイルシールはゴム製なので,損傷・硬化したりする。したがって,消耗品の部類だろう。

とりあえず,部品を注文する前に分解してみることにした。

船外機のギヤオイルを交換するときに緩めるボルト

分解する部分にはギヤオイルが入っているので,抜いてから作業する。

オイルを抜くときは,下のボルトではなく上のボルトから緩めた方がいいと思う。

これは入り口を確保してから出口を開けるという考え方で,オイルを抜いてから入り口が開かない(ナメてしまったりボルトが折れる)というトラブルになるとオイルを入れられず,船外機が使用不能になってしまうため。

車やバイクでも同じ考えで,私は入り口から開ける。

ちなみにギヤオイルは下から(ドレーン側から)入れるのが正しいので,正確には上のボルトは入り口ではない。

船外機のギヤオイルを抜くための,ドレーンボルト

こちらはドレーン(抜く)側のボルトだ。

この2本のボルトは意外と硬く,しかもマイナスドライバーで緩めるので,ナメるリスクが結構ある。

工具に慣れていない人にとっては緩める作業はキツいかもしれない。

2本のボルトにはガスケットが付いているので,組み付け時は新品に交換する。

ギヤオイルのドレーンボルトから,古いオイルを排出

上のボルトを外さないとギヤケース内に空気が入らないため,オイルはほとんど出てこない。

下のボルトを外した状態で上のボルトを緩めると,ギヤオイルが出てきた。


ギヤオイルはこまめに交換しているので,とても綺麗な状態だった。

ギヤ部に海水が混入していればオイルは白く濁るらしいが,この船外機を5年程度使用しているが,オイルが白濁した事は一度もない。

したがって,オイルシール交換は一度もやっていない。

排出したギヤオイルを受けるための皿

オイルは,このように容器で受けている。

本当は綺麗な容器で受けた方が,ギヤ内のトラブルで金属片などが出てきた場合に分かりやすい。

プロペラシャフトハウジングの取り付けボルトを緩める

それでは分解だ。

プロペラシャフトの上に1本,下に1本のボルトがある。10mmだ。

この2本を取るだけなので,バラすの自体は楽勝だ。

プロペラシャフトハウジングのボルトが外れた

2本のボルトが外れた。ネジに錆が発生している場合は,必ず交換しよう。

船外機は,錆が原因でボルトを緩めるときに折れてしまうトラブルが多いらしい。折れたら地獄だ。

私のはサビていないので,再使用することにした。

プロペラシャフトハウジングの上下の向きが分かるように,印をつける

2本のボルトが外れたので,プロペラシャフトハウジングを外す事ができる。

この部品は上下対称部品だと思うのだが,念のために上側に印を付けておくことにした。

船外機に使用している,車用の塗料を塗った。

反対に組んで問題が無い部品でも,元通りの向きに組んだ方が確実だ。

プロペラシャフトハウジングを外すために,マイナスドライバーを差し込むための溝

プロペラシャフトハウジングを外すには,矢印部にマイナスドライバーを入れてこじる。

溝にマイナスドライバーを差し込む

ドライバーの差し込みが甘いと,こじったときにナメてしまうので注意。

反対側にも溝があるので,均等にこじってできるだけ斜めにならないように浮かしていく。

プロペラシャフトハウジングが浮いてきた

ハウジングが浮いてきた。あまり強くこじらないで浮いてきた。

ハウジングを落とさないように注意だ。

不安な人は,下に綺麗なダンボールやウエスなどを敷いて落下に備えるといい。

プロペラシャフトハウジングを手で外す

ここまでくれば,あとは手で外れる。

ひとつだけ落下しやすい部品があるので気をつけよう。

写真のように,まっすぐ抜けば大丈夫だ。

プロペラシャフトに付いているピンを落とさないように,上に向ける

ハウジングが外れたら,写真のように少し斜めにして,ピン側を上にするといい。

下に向けると,ピンが落下する可能性がある。

このピンには,向きがあるので注意だ。

プロペラシャフトハウジングが外れた状態の,ロワーユニット

船外機側は,こんな感じになった。

特にグラグラしたり落下したりする部品はなさそうだ。

外れたプロペラシャフトハウジングを,スタンドに置く

私の船外機スタンドはホームセンターで売っている激安の作業台を加工したものだが,ここに開いている穴を利用して,プロペラシャフト&ハウジングを置く事ができる事に気づいた。

意外と便利だ。

船外機スタンドに,パーツトレイを置く

このように,マグネット付きのパーツトレイを置くこともできる。

マグネットでくっついているので,落下しにくい。

プロペラシャフトハウジングと,プロペラシャフトの分解

それではプロペラシャフト&ハウジングの分解だ。

ベイトリールの分解などができる人なら,難易度はさほど高くないと思う。

ただし,船外機のトラブルは危険なので,慎重に作業していこう。

ハウジングからプロペラシャフトを抜く

プロペラシャフトはハウジングに入っているだけで,固定されてはいない。

したがって,このように手で矢印方向に押すと,簡単に取れる。

シャフトが抜けてきた

取れてきた・・・。

プロペラシャフトのワッシャー

シャフトが完全に抜けるとき,ワッシャーが1枚あるので落とさないようにする。

ハウジングからシャフトが抜けた状態

取れました。

ワッシャーは向きがないと思う。

続いて,プロペラシャフトの分解だ。

プロペラシャフトに組まれているピンを外す

オイルシールを交換するだけならプロペラシャフトの分解は必要無いのだが,せっかくなので分解する。

まずは,ピンを引き抜く。

力は全く必要無い。

プロペラシャフトに付いていたピン単体

このピンは,向きがあるので注意だ。

写真右側の丸い方が,シャフトの外側。

写真左側の斜めにカットされている方が,シャフトの内側だ。

上の写真と同じ向きなので,上写真と合わせて確認するといい。

ドグクラッチ

ここから矢印を変えてみた。気分転換だ。

これは「ドグ(ドッグ)クラッチ」などと呼ばれる機構で,船外機のレバー操作によって動力を断続する部分だ。

前進とニュートラルを切り替える部品。レバーを操作すると上写真のピンに押されて,ここらへんが動く。

これ以降,この矢印の部品を「ドグクラッチ」と呼ぶ。

ドグクラッチのスプリング

これは上の写真からドグクラッチを外して,横から見たところ。

ドグクラッチが外れた状態で見てみると,ドグクラッチはスプリングで押された状態になっているのが分かるだろう。

ドグクラッチをプロペラシャフトから外す

スプリングによってドグクラッチは右方向に押し付けられているので,クラッチを持って矢印のようにスプリングを少し縮めながら外す。

特に難しくはない。

プロペラシャフトから外れたドグクラッチ

取れた。

ドグクラッチは向きがあるので注意だ。

写真の向きで正しい

シャフトに入っているスプリングを外す

続いてスプリングを取り出す。

このようにトントンとやるだけで,ある程度出てくる。

マイナスドライバーを使うとスプリングが外しやすい

少し出てきたら,このようにマイナスドライバーなどで軽く押して取り出す。

強く押しすぎてスプリングを変形させないように注意だ。

結構硬いスプリングなので,よほど強く押さない限りは変形しないと思う。

外れたスプリング

取れました。

たぶん向きはないと思うが,一応覚えておく。

分解した部品(プロペラシャフト,プロペラシャフトハウジング,他)

ここまで分解した部品。

オイルシール交換時は,このようにシャフト周りも分解・点検した方がいいと思う。

ここまでの難易度はあまり高くないと思うが,自信が無いならやめた方がいい。