製作開始日:2011年2月1日
今回は,プロペラ周辺のメンテナンスだ。
船外機を使用中は常に海水に触れている部分なので,こまめにチェックしておきたい部分だ。
日常のメンテナンスとしては,プロペラが取り付けされているシャフトへの給油と,シャーピン(この船外機には付いていないが)の点検,そしてオイルシールの点検などだろう。
私の船外機は,昨年の夏に子供と川遊びで使っているときに浅瀬(砂地)でプロペラを回してしまったため,プロペラの先端部分の塗装がほとんど剥がれてしまった。
ついでなんで,プロペラの塗装もやってみようと思う。
プロペラ中心部にはプラスチック製のナットが付いており,緩み止めの割りピンが取り付けされている。
まずは割りピンを外すところから始まる。
割りピンは,どれ位まっすぐにできるかが外す時のポイントだ。
中途半端に変形したままだと取れそうで取れない状態になって,意外と苦戦する。
私はラジオペンチで,ナットに近い根元から伸ばしていく。
先端からまっすぐにすると,グニャグニになりやすいと思う。
できた。
あとは上から軽くハンマーなどで叩いて,下に出てきたらプライヤーなどで引き抜く。
割りピンがまっすぐになっていないと,上から叩いたときに出てこないで変形し,金属疲労で柔らかくなってきて面倒な事になる。
プロペラのナットを外す。
割りピンで緩み止めがしてあるので締め付けは非常に緩い。
ナットを回すとプロペラも回転するので,手を挟まないように注意だ。
ナットが外れた。
プロペラとナットの間には,ワッシャーが1枚入っている。
私は錆を防止するため,ワッシャーにもグリースを塗っている。
グリースの粘着力で,ナットにくっついていた。
プロペラは引っぱるだけで簡単に外れる。
プロペラの奥にスペーサーが1枚ある。このスペーサーには向きがあるので注意だ。
私は以前,このスペーサーを反対に組んだ事があるのだが,反対に組むとプロペラを回転させたとき,異音とともにプロペラ側が削れてしまう。
初めて外す人は,落としてしまうと向きがわからなくなる。
私の船外機と同じだという人は,写真を見てもらえればOKだ。
このスペーサーの奥には,ギヤオイルが漏れないようにしている「オイルシール」がある。
プロペラ部に海草や釣り糸を絡めてしまうとオイルシールが痛んでしまうため,このスペーサーにはオイルシールを保護する役割もあるのではないかと思う。
船外機のトラブルの中でもオイルシール不良によるギヤオイル漏れやギヤ内への海水混入は,定番のトラブルだと思う。
ギヤオイルを抜いたときにオイルが白濁していれば,ここらへんが怪しい。
スペーサを外す。
取り付けはキツくない。
外したスペーサ。これはプロペラ側だ。
中心の穴付近に,ベタベタしたものが付着している・・・。
ギヤオイルだろうか・・・。
これは内側(ギヤ側)。
特に問題はない。
ここまで,外したのは左写真の他,プロペラと割りピンだけ。
ワッシャーは少し錆が発生しているので,組み付けまでにペーパーで磨いておく。
上写真のワッシャーを細かいペーパーで磨いたら,こんなに綺麗になった。
あとは,組み付け時にグリースを塗ればOK。
プロペラが取り付けされていたシャフト。プロペラシャフトという。そのまんまのネーミングだ。
多くの船外機が,このシャフトに「シャーピン」というピンを取り付けした構造になっているようだが,この船外機に「シャーピン」はない。恐らく
- 非力な2馬力 + アルミ製のプロペラ
- プロペラが衝撃吸収構造
であるためだと思う。衝撃吸収構造については後述する。
個人的には,シャーピン構造の方が好きだ。プロペラが岩などにヒットしたとき,ダメージが少ない印象がある。
私が持っているハンドコンエレキもシャーピンが付いているが,プラスチック製のプロペラの場合はプロペラ保護のため,シャーピン構造が必須だと思う。
プロペラシャフトの根元にオイルシールがある。オイル漏れの有無を点検しよう。
オイルシール下部にギヤオイルが少し溜まっている。どうやらギヤオイルが漏れているようだ・・・。
船外機を購入してから5年近くになるが,一度も交換していないので,仕方ないか・・・。
オイルシールの交換が必要なようだ。
オイルシールを外から見ても,特に異常はない。
オイルシールはゴム製部品で海では常に海水にさらされているので,年数による硬化もあるのかもしれない。
これはプロペラの内側だ。
内側の塗装が剥がれて傷だらけになっている部分がある。これは先ほど書いたように,スペーサーの向きを間違えて組んでしまい,プロペラを回転させてしまったため。船外機購入後,1年以内にやらかした。
シャフトが取り付けされる部分とプロペラ部分の間には厚いゴム層がある。
例えばプロペラが岩などにヒットした場合,多くの船外機はシャーピンが折れて各部を保護するようになっているが,この船外機は,このゴム層で衝撃を吸収しているようだ。
プロペラはアルミ製なのでプラスチック製と比べて強度があり,安心感は強い。プラスチック製は回転時に若干しなるため,アルミ製と比べるとパワーロスがあるらしい。
プロペラの塗装を,初めてやってみた。塗料は,600円位の安物だ。
プロペラの材質はアルミなので,そんなに急激に腐食したりはしないだろうと予想して,塗料は安物にした。
特に下地処理やマスキング等は行わず,全塗装だ。
黒いゴム層も,真っ白にする。
なかなかいい仕上がりだ。
塗料が少し柔らかかったので,薄く塗って10回位重ね塗りした。
本当は塗りムラも結構あるのだが,写真の仕上がりがいい。見ている人に気付かれにくい。
プロペラシャフトには,「ヤマハ:グリースD」が指定グリスになっているので塗る。
シャフトの腐食防止が目的なのではないかと思うので,私はネジ部まで全体に塗っている。
しかし,「グリースD」は非常に硬いので,古いグリースを掃除するのも大変だ。
パーツクリーナーも受け付けない勢いの,とんでもないグリースだ。
ひょっとすると,これを塗らなかったらすぐに錆びてしまうのかもしれない。
ま と め
今回の作業自体は難易度があまり高くないのだが,ポイントをまとめてみる。
- ナット,ワッシャー,スペーサー,プロペラシャフト,プロペラを清掃する
- オイルシールの状態を,しっかりとチェックする
- プロペラシャフトにグリースDを給油する
- 私はワッシャー・ナットの内側金属部などにもグリースDを塗っている
- 塗装の剥がれがあれば,腐食防止のため早めに塗装する
- 割りピンは再使用できないので,必ず新品を取り付けする。予備を多く持っておくと良い
- 組み付け時,スペーサーの向きを間違えないこと(間違えると部品が削れる)
- 組み付け後,プロペラを前後にゆすってガタがないかチェック
- 組み付け後,プロペラを手で回して干渉が無いか確認
オイルシール不良によるギヤ部への海水混入については,よく「ギヤオイルの色で判別できる」と言われているが,オイルが真っ白になっているという事は,すでに内部のギヤ&ベアリングにダメージを与えている可能性がある。
したがって,プロペラ部の状態もこまめにチェックして,ダメージを最小限に抑えたいものだ。