個人的にはヤマハF2AMHのキャブは非常にシンプルでオーバーホール入門用には良いと思いますが,キャブは精密部品です。船外機のトラブルは非常に危険ですので,無理な作業は控えましょう。
上の警告にも書いてありますが,この作業は船外機マニュアル等は一切見ないで,自分の今までの整備経験のみで実施しています。したがって,全て正しい説明・作業であるとは限りません。
キャブが外れた,この状態からスタート。
まだキャブを外してない人は,キャブレターの取り外しを参考にして下さい。
- 精密機械のためホコリ・衝撃厳禁!
- 引火防止のため,火気厳禁!
- 気温が高いほどガソリンが気化しやすく危険!
- 静電気でも引火・爆発するという事を忘れずに!
- ホコリが立たない程度に風通しが良い方が安全。
今回の作業に使用する工具。
キャブが外れていれば,10mmソケットとマイナスドライバー(中)は使用しません。
写真がまだありませんが,キャブ分解時は周辺のガスケットやOリングなどを事前に準備しておき,組付け時に交換しましょう。
再使用して燃料が漏れたらシャレになりません!
各部の清掃で使う。
右がパーツクリーナー,左はキャブレタークリーナー。
キャブの清掃にはキャブクリーナーは必須!
パーツクリーナーではキャブ内のガソリン汚れはほとんど除去できず,代用できません。
まず,パーツクリーナーでキャブ本体を洗浄。分解前にキャブ外装を綺麗にしておく。
ちなみにパーツクリーナーもガソリンに近い物質が含まれるため,火を近づけると危険!
キャブの底面。 キャブ本体内部のガソリンを抜く「ドレーンスクリュー」が見える。
キャブを船外機から外す前に,ここを緩めてガソリンを抜いておいた方が安全で作業しやすい。
特にエンジン不調などを起こしている場合は,事前に抜いて内部の汚れをチェックしておきたい。詳しくは,「キャブレター内のガソリンを抜く」を参照して欲しい。
長期間緩めていないと,固くてスクリューをナメてしまいやすいので注意。
いきなりフタを開けるとガソリンが結構出てきます。
キャブ本体下部のフタ(フロートチャンバ・ボデー)を取り外す。ボルト2本。
フタを開ける時は慎重に!この中にある「フロート」という部品に衝撃を与えてしまうと変形し,エンジン不調の原因になります!
フタを静かに,垂直に持ち上げて外す。
このフタの周りからガソリンが漏れないように,ゴム製のガスケットで密閉してある。
組付け時は新品にしよう(336円)。
上の写真が少し暗いんで。
黒くてデカイのが衝撃厳禁の「フロート」。
真ん中の金色の部品が,アクセル開度中~全開付近のときに燃料を供給する「メインジェット」。まん中に小さい穴があいており,ここから燃料が送られる。
アクセル中開~全開付近で吹け上がりが悪い場合は,ここらへんが怪しい。
まずフロートの構造から見てみよう。
フロートは中に空気が入った「浮き」。水洗トイレの水が溜まるタンクと似たような構造で,キャブ内部に燃料が入ってくると浮かんでいき,燃料が一定の量まで入ると,それ以上入らないようにフタをするための装置だ。
現在はキャブが逆さになった状態なので・・・・
はい,キャブ本来の向き。
ガソリンが入ってないのでフロートが下がってますね。
この状態だと,キャブに燃料が入ってきます。
燃料が入ったらフロートは浮力によって,このように上に上がる。
こうなると入り口に栓をされるため,燃料がキャブに入らなくなる。
またまたキャブを逆さに。
フロートはビスで固定されているピンを支点に上下する。
フロートが下がると,支点のあたりにある「ニードル・バルブ」も下がり,燃料の通路が開いてキャブ内部(フロート室)に入ってくる仕組み。
このバルブとフロートの間にある金具部分が変形すると,キャブ内部に入る燃料の量(油面)が変わってしまいエンジン不調を引き起こす。気をつけよう。
それでは,フロートとニードル・バルブを外そう。
ピンを固定しているビス1本を外せばOK。
ドライバーがコケてニードル・バルブ付近に衝撃を与えないように注意しよう。
「フロート」と「ニードルバルブ」が外れました。