いつものように,フロート室周辺の穴を点検し,キャブクリーナーで清掃。
今回は,特に問題は無かった。
全ての穴にキャブクリーナーを注入。
(Flashアニメーション)
ニードルバルブと通路に汚れやバリなどが無ければ,このようにニードルバルブは自重で落下する。
引っかかりなどがあれば,何かがおかしい。
ここらへんに引っかかりがあると,キャブから燃料がダラダラ漏れてくる「オーバーフロー」という現象が発生しやすい。
こちらはキャブの上部。 こっちにも非常に小さい穴が複数空いている。
今回も解析を試みたのだが,なかなか難しくて説明できるほどは解析できなかった。
小さい穴はキャブクリーナーだけでは綺麗に貫通しない場合があるので,できればエアーダスターなどでも清掃したい。
こんな感じになった。
(Flashアニメーション)
こちらはチョークバルブ。冷間時の始動を容易にする装置だ。
上側の黒いレバーを手で操作して,スムーズに動けばOK。
バルブの上と下が可動部になっているので,キャブクリーナーで丁寧に清掃すれば問題ないと思う。
冷間始動が困難な場合の原因がチョーク系だとすると,多くのケースはバルブではなくて穴の詰まりだと思う。
こちらはスロットルバルブ。アクセル操作で開閉する弁。
矢印部の,アクセルワイヤーが連結される部分を操作すると開閉する。
チョークバルブが閉じた状態で,すき間からキャブクリーナー注入。
反対側のスロットルバルブは手で操作しない限り閉まっているので,これでキャブ内の細部まで浸透するだろう。
組み付け時のポイント
キャブ上部のガスケットを新品に交換する。
以前,友人のヤマハ9.9馬力船外機のキャブを分解したとき,ここのガスケットがブヨブヨになっていたのを覚えている。
このガスケットは変な向きに組む事は難しいくらい,形状に特徴がある。
上のフタを付けてオッケー。
3本のビスは少しずつ均等に締めていく。
これはフロート室のガスケットだ。
基本的には分解ごとに新品にする。
今回はパイロットスクリューを外したので,ここのOリングも交換する。
先端の極細部を曲げたりしないように注意しよう。
スプリングを入れてから,パイロットスクリューを取り付けする。
前にも書いたように,このスクリューは完全に閉めた状態から特定の回転数だけ緩めて使用する。このキャブの標準戻し回転数は,2~3回転くらいらしい。
バイクのキャブなんかも,2.5回転前後戻すものが多い。
全閉するときに締めすぎると,パイロットスクリュー先端の細い部分を傷めやすいので注意する。
とりあえず,分解前と同じ回転数だけ戻していいだろう。
キャブの組み立て,完了。
写真ではエンジンとの合わせ面にガスケットのカスが残っているが,オイルストーンで綺麗に取り除く。
ここが汚れているとエンジンを掛けたときに合わせ面から空気を吸い込んでしまって,エンジン不調になる事が多い。
こちらはエンジン側。
ガスケットは再使用不可部品なので交換する。
エンジン側のガスケットのカスを,オイルストーンで綺麗にする。
綺麗にすると,こんな感じになる。
これはキャブとエンジンの間に挟まれている部品。ヤマハの部品名だと「ガスケット」だが,一般的に「インシュレーター」と呼ばれる事が多いので,ここでは「インシュレーター」と呼ぶ。
紙のガスケットと区別するため。
このインシュレーターには向きがあるので注意だ。
こちら側は中心の穴が円形なのだが・・・。
反対側は,楕円形になっている。
この楕円形になっている方がエンジン側で,円形の方はキャブ側になる。
組み付けをイメージしてみる。
このガスケットは,突起が矢印の向きになるように組む。
裏返しになっていると,突起が反対側になるので分かるだろう。
さっきの紙ガスケットの突起に合わせるように,インシュレーターを組む。
これで,インシュレーターの楕円形の方がエンジン側になっているはずだ。
このように組むと,エンジンの楕円・ガスケットの楕円・インシュレーターの楕円がぴったりと同じ向きになる。
次に,このガスケットだ。
これは向きが無かったと思う。
インシュレーターの穴とガスケットの穴が,きちんと一致するはずだ。