警告!!このページはマニュアル等を参照した整備の模範的要領ではなく,自分の行った自己流整備の記録です。船外機の整備ミスは命に関わるという事を忘れずに,できるだけプロに任せる事を強くお勧めします!このサイトを参考にした結果による,いかなる事態にも責任は負えません!

ヤマハ4サイクル2馬力船外機(F2AMH)

今回はサーモスタットの点検作業だ。

サーモスタットとはエンジンを冷やすためにインペラで汲み上げた水(海水)の温度を管理する,非常に重要な部品だ。

この船外機も2006年の夏に新品で購入し,5年が経過した。

今年は東日本大震災の影響で,宮城県の海へ出船するのは難しい。船外機も塗装の内部から腐食してきたり,だんだん傷んできたので,この機会にしっかりと整備しておこうと思う。

ちなみにホンダの2馬力船外機は空冷エンジンであるため,サーモスタットは存在しない。

船外機のパイロットホールから水が出ている状態

今年の初めにインペラの交換を実施したので,パイロットホールからの水の噴出しは絶好調だ。しかしながら,この水の噴出し具合とサーモスタットは,直接関係ないところが少し怖い。

バイクや車にも付いている部品だが,船外機の場合は海水で動作している部品なので,正直言って5年放置は非常にヤバイと思っている。

ちなみにサーモスタットが壊れると,エンジンのオーバーヒート(過熱しすぎ)またはオーバークール(冷えすぎ)が発生する。

オーバークールでもいろいろなトラブルが発生するが,オーバーヒートの場合は直撃でエンジンにトドメを刺す場合があるので,絶対に回避したい。

ちなみにこの船外機のサーモスタット点検は,1年または200時間(船外機の運転時間)ごとに点検することが推奨されているらしい。

私のように 2馬力船外機が免許不要になってからすぐにボートを購入した人で現在までサーモスタットの点検をした事が無いという人は,ぶっちゃけ非常に多いのではないかと思う・・・。

燃料タンクのボルトを外す

それでは分解していこう。

今回の作業の難易度は,キャブやインペラと比べると「超楽勝」だと思う。サーモスタット交換だけなら,作業時間は15分程度だろうか・・・。

しかしながら,油断は大敵。慎重に作業していこう。

まずは燃料タンクを外す。

ホースが付いている部分に燃料フィルターがあるので無くさないように注意しよう。

スターターアッセンブリを外す

そして「スタータアッセンブリ」を外す。チョークワイヤーがキャブに繋がっているので注意だ。

ここまでが良く分からない人は,「キャブレター取り外し①」を参照してほしい。

大きな分解は,この程度で十分だろう。

ヤマハ2馬力船外機(F2AMH)のエンジン上部

こんな感じになる。

サーモスタットがある場所は,非常にメンテナンスしやすい場所に配置されていた。

私は約5年も放置してしまったが,本来であれば比較的こまめに点検しなければならない部品のためだろう。

恐らくほとんどの船外機が,こんな感じでメンテしやすい配置になっているのではないかと思う。

サーモスタット取り付け部

サーモスタットの上にあるカバーはボルト3本とホース1本を外せば楽勝で外れる。

ホースを外そうとしたら,ホースとカバーの間から青(水色)になっている部分が見えた。

これは腐食のサインだと思う・・・。

サーモスタット取り付け部のカバーに付いているホースを外す

ホースを外したら,やはりパイプの付け根が腐食してきていた・・・。

やはり塩分というのは恐ろしい。油断していると,あっという間に金属がやられてしまう。

あとで歯ブラシなんかで掃除しておこう。

サーモスタット取り付け部のカバーを外す

あとはボルトを3本外すだけだ。ボルトのサイズは10mmだ。

この船外機のボルトは,ほとんど10mmだ。

ちなみに今回はキャブの掃除など他の作業と平行して行っているので,この写真からキャブとアンダーカウルが外れています。

サーモ交換だけなら外す必要がありません。

カバーを開けてみる

開けてみた・・・。

船外機に付いた状態のサーモスタットとアノード

予想通り,ヤバいことになっている・・・。

あとでじっくり見てみよう。

サーモスタットを取り外す

この状態だとサーモスタットは,エンジンに乗っかっているだけだ。

ゴムの部分で通路を密閉しているので少しだけ固いかもしれないが,引っぱれば取れる。

取り外した古いサーモスタット

手で簡単に取れた。

予想通り,サーモスタットはサビだらけになっていた。

正常に動作していたか,微妙だ・・・。

アノードの点検

次はアノードのチェックだ。プロペラの近くに付いているアノードはメジャーだが,こちらの方はマイナーだろう。

私も知らなかったのだが,サーモスタットの整備を考えてヤマハの部品情報検索システムで分解図を見た時に,初めて知った。

すごく小さくなっていた訳ではないが,表面は多少ボロボロになっていて腐食していた。

この状態では本来の機能を果たせないのではないかと思う。

今回は交換することにした。作業も楽勝だし,値段も激安だ。

サーモスタットが外れた状態のエンジン側

サーモスタットを外した後のエンジン側は,こんな感じだ。エンジン内部は非常に多くの水滴が残っていた。

最後にエンジンを掛けたのは,インペラ交換後の試運転だったと思う。確か5月7日だ。

約2ヶ月経過してもエンジン内部に水分は残っている。逃げ場が少ないので当たり前か・・・。

ここのアノードは,過酷な使用環境だと思う。

エンジン内部には塩分によるダメージがあったが,思ったほどではなかった。見える部分だけの話だが。

エンジンにお湯を入れて冷却系統の清掃を行ってみた

エンジン内部にお湯を入れるとある程度の塩分を除去できると聞いたので,実際にやってみた。

あまり熱いと刺激が強すぎると思って,実際の冷却温度に近い60℃くらいのお湯でやってみた。

やってみた感想は・・・。ぶっちゃけ,効果はあまり感じなかった。

お湯を入れてブラシで擦ってみたが,あまり綺麗にならなかった・・・。

エンジンにお湯を入れたときの,お湯が出てくるところ

ちなみに上から入れたお湯は,プロペラ上部の小さな穴から出ていた。

外したサーモスタットを目視点検

これは外したサーモスタットだ。

外観はヤバい事になっているが,正常に動く状態なのかは分からない・・・。

サーモスタットを使って,構造を考えながら実験してみよう。

サーモスタットを点検するため,お湯を準備する

遊んでいた息子もワクワクしながら寄ってきた。子供には,あまり楽しくないと思うが。

家の中でもできるのだが,なんとなく今日は外でやってみる。

まずはカセットコンロでお湯を沸かす。

沸かしているお湯の温度を測定

温度計で水温を計る。とりあえず45~50℃くらいにしたい。

子供が温度計を離さないのだが,この温度計は借り物のガラス製なので,割られると困る。

なるべく温度を正確に測るため,かき混ぜながら中間部分で計測した。