それでは製作要領を紹介していこうと思うが,その前にひとつだけ。このアイテムは画期的な点だけでなく,問題点がいくつかあるので覚えておいて欲しい。
- 完成したばかりのアイテムなので,2013年8月現在,長期間使用したデータが無い。
- 私の超高圧電動ポンプは一部壊れているため,超高圧電動ポンプのブロワー(最初の高速充填モード)での使用実績が無い(コンプレッサー : 高圧充填モードではテストしました)。
- きちんと加工・製作しても部品内部に一部通路が狭い場所があり,空気の通過がスムーズでない可能性があるため,超高圧電動ポンプのブロワー使用時にモーターの負荷が増え,故障の原因となる可能性がある。
なので,これを製作して超高圧電動ポンプで膨らます人は,申し訳ないが実験台という事になってしまう・・・。
作ってみた感じでは「使い方を間違えなければ」問題無いと思ったが(特別な計算等は行ってません),部品の内径などをある程度把握しながら製作したので,その辺も紹介していこうと思う。
まずは本体を製作していく。
準備するもの
- アイリスのコック付きジョイント2個
- 塩ビの分岐パイプ
- 太い方のホース
- メジャー
- ハサミ(良く切れる大きいもの)
- 棒ヤスリなど(写真なし)
まずは塩ビの分岐パイプからいこう。
これまでを見てきて「簡単に作れそう!」って思うでしょ。 世の中そんなに甘くないんです(笑)。
私が持っている「ブロワー : 高速充填モード」が動作しない「BST-12」のホースを見てみると,恐らくホース内径は「19mm」ではないかと思う。
なので,この電動ポンプは「内径19mm程度の通路に対し,空気を入れていく設計のポンプ」という事になる。今後も重要になってくるので,これをしっかりと覚えておいて欲しい。
そして塩ビのパイプを見てみる。
内径を測ってみると18mm強。さほど問題にならない気がするのだが,内部に狭い部分がある。これは塩ビのパイプを差し込んだときにストッパーになるように加工されているんだと思う。
まずはこれを,棒ヤスリで削っていく。
塩ビは柔らかいので,バイスで挟んで大きい丸棒のヤスリで削ると10分程度で削る事ができる。環境が無い人は,ホームセンターの工作室などを使用するといいと思う。どうせ材料買うし。
左が加工前,右が加工後。突起部は全て無くなった。私は大きな棒ヤスリで削ったので,内部も拡張して内径が19~20mm程度になった。
ここを拡張しても他の場所でどうしても拡張できない部分が出てくるのだが,電動ポンプのモーター負荷を少しでも減らすために,頑張って削った方がいいと思う。
ポンプの設計より狭い通路に充填しようとすると, 空気の抵抗が増える → モーターの負荷が増える → モーターに流れる電流が増える → モーターが高温になって焼ける可能性がある。
次にレイアウトを決める。
私が作ったのは,このレイアウトだが・・・。
こんな感じでも作れるし・・・・。
塩ビをもう1つ追加すれば,5連~6連も可能。
5連みたいに奇数にする場合は,アイリスでシングルタイプのコック付きが売っている。付けてみた事はないが,たぶん付くと思う。
私が作ったレイアウトのメリットは,ホースが左右に1本ずつ,前に2本真っ直ぐに伸ばせる設計で,ホースが折れにくいと思う。
追加の塩ビは,上向きにする事だってできるので,自分の用途に合わせてレイアウトする。
レイアウトが決まったら,アイリスのコック付きジョイントを1つ準備。
矢印の部分がネジ状になっているので,回して・・・。
取り外す。
塩ビパイプを当てる。
この部分にホースが付くのだが,塩ビのパイプは密着させなくても特に問題は無い。
私はほぼ密着するように付けたが,多少浮いていた方がホースを付けやすいと思う。
塩ビの分岐パイプをこのように当て,ホースが付く部分の長さを測定する。
ホースを丁度良い長さに切る。
塩ビに入れる方はアバウトでも問題ないのだが,切り口が真っ直ぐになっていないとアイリスのジョイントに付ける部分がうまく付かなくなる恐れがある。
このホースのように網状の繊維が見える場合,網目のクロスしている部分を目安にして切っていくと,比較的真っ直ぐに切れる。
私と同じセットで作る場合は,ホースは4.5cm~5.0cm程度になる。私の完成品は,約4.5cmだ。
この部分がネジ式になっているので,取り外す。
「おりゃ~!」と叫びながら,頑張ってホースを付ける。
取り付け部の面積が狭いため,できるだけホースの切り口が真っ直ぐな方を差し込むこと。
もともとこの部分にこのサイズのホースを付けるのは結構無理があるため,最初は「本当にこんなの付けられるの?」って思ってしまうくらい地獄だ。
ちなみにこの作業をコック付きジョイント本体に付いた状態でやると,本体破損の原因になりやすい。
私は最初,本体に付いた状態でホースを回しながら入れていったら「バキッ!」って音がして,本体側のネジ山がイカれてしまった・・・。なので,単体での作業をお勧めする。
本体付きで作業する時は,絶対に回しながら入れてはダメ!
うまくいくと,こんな感じになる。どうしても付けられない人は,石鹸水を少しだけ塗ると入りやすくなると思う。
この部分はホースが密着している部分の面積が少ないため,ホースクランプを付けないと非常に抜けやすい。なので,あとでホースクランプを付けておくといいだろう。
塩ビのパイプが付く方は,こんな感じ。
この状態になったら,本体を取り付けしておく。
本体を取り付けしたら,ホースクランプを取り付けしておく。
ここまでにクランプを通しておかないと,モノによっては取り付けできなくなる場合がある。
これは完成品の写真だが,クランプの取り付けはこんな感じ。
クランプはボートに傷を付けないような向きで取り付けする。
本体の材質がプラスチックなので,締めすぎると本体が割れるかもしれないので注意すること。
写真には写っていないが本体が付いている状態で,向きを合わせながら「おりゃ~!」と叫び,今度は塩ビパイプに入れていく。
こっちの方は比較的簡単だが差し込む量が多いので,最初に石鹸水を薄く塗っておくといいと思う。ちなみに私は何も塗らずに入れた。
途中で止めると,次に押したときに動きにくい。なので,できるだけ止まらないで一気に最後まで入れる。
こんな感じになる。
本体とホースクランプが付いているとして考えてね。
後から本体を取り付けすると,向きの調整に苦労する。
2個目も同じようにして・・・。
こんな感じにする。
写真ではホースクランプが付いていないが,付いているものとする。
下のホースと手で回せるホースクランプを付けて,本体が完成!
私は余ったホースをそのまま付けたので長くなったが,ここも長い必要は無いと思う。電動ポンプの吐出口がきちんと入る最低限の長さで良いので,たぶんこれの半分位で十分だろう。
コック付きジョイントの部分と高圧ポンプの先端が取り付けされる部分はホースクランプが必須だが,塩ビの部分は入りが深くて結構キツいため,クランプ無しでもいけると思う。