製作開始日:2011年5月17日
船外機を使用したボート釣りの悩みの一つに,船外機の故障がある。 車やバイクなんかだと市街地でのトラブルは何とかなりそうなのだが,船外機の場合はヤバい。 トラブルの場所が海の上だからだ。
私が2馬力ボートで釣りをする時は,基本的に早朝から昼前後まで釣りをする事が多く,夕方はやった事がない。海上でトラブルを起こして日が暮れると非常に危険だからだ。
まあ本音を言えば釣り場まで片道2時間掛かるので,夕方まで釣りをしたら帰るのが遅すぎになってしまうからなのだが(笑)。
ここでは海上で船外機の故障が発生した時の対処について,私の過去の経験も交えながら考えていく。緊急時の対処法というよりは,純粋に「海上で船外機を修理する事は可能か?」という点だけに重点をおいて考える。
いきなりだが,私は過去に「海上でキャブレターの分解」に挑戦した事がある。
確か2008年か2009年の1月だったと思う。
(左の写真は今回のネタとは関係無い)
「エンジン不調①」を見てくれた人は分かると思うが,燃料タンクのキャップに錆が発生してエンジン不調に悩まされた頃があった。
出航後すぐにエンジンの不調に気付き,漁港から出てすぐの所でエンジンが停止した。
遠くまで行ってからこんな事になると寒気がするところだが,手漕ぎでも間違いなく楽勝で帰れる距離で,風・波も無く潮の流れもキツくない場所だったのが不幸中の幸い。
今後もこのようなトラブルが発生する可能性があるし釣りができる状態でもないので,練習も兼ねて海上で応急処置をやってみる事にした。
私がボートに必ず積んでいる物の中に,こんなものがある。 船外機を購入したときに添付されていた工具セットだ。
本格的なメンテナンスは難しいにしても,ある程度の応急処置くらいはできそうな最低限の工具。
これに予備のスパーク・プラグが1個。
写真には無いがプロペラ部の割りピンや,始動用のロープが切れた場合に備えて,予備の始動ロープなども積んでいる。
その他いろいろ積んでいるのだが,写真も少ない事だし次のネタにとっておこう・・・。
覚えている範囲で,当時私がやった行動を順番に書いていく。
ちなみに,これ以降の写真は当時のものではない。
船外機の取り扱いに慣れていなかった頃,出航直後にエンジンが停止してしまう事が何度かあった。
他のサイトでも良く書かれているが,代表的な失敗の一つとして,「エアベントスクリュ」の緩め忘れがある。
燃料タンクのガソリンはキャブまで落下する構造のため,ここを緩めてタンクに空気が入るようにしないと「間接的ガス欠」になる。
点検してみた結果,緩め忘れは無かった。
念のためキャップも緩めて多く空気が入るようにして始動してみたが,症状は変わらなかった。
次に,燃料コックの開き忘れをチェック。
ちゃんと開いていた・・・。
もちろん燃料だって入っている。
とりあえず,またスターターのロープを引いてみた。
数回引くと,エンジンが掛かった。決定的な原因が分からないままエンジンが掛かったので,ますます怪しい・・・。とりあえず試運転することにして,漁港から離れずに周りの迷惑にならないような場所で走行してみると最初は普通に走るのだが,しばらくするとエンジンの吹けが悪くなって止まってしまう。
とりあえずスパーク・プラグを点検することにした。安全と思われる場所でアンカーを下ろし,工具を準備する。
海上で工具を使うのは初めてだったのだが,プラグを外す作業をした感想は,当たり前だけど,船が揺れるので不安定で,プラグを外すのも意外と大変!
当時は海況が良かったためプラグを外す作業では自分が海に転落するリスクなどは少なく感じたが, 少しでも波があったり風が吹いていたら,プラグを外すのも無理かもしれないと感じた。
プラグを外してみると,電極部は乾燥していた。乾燥しているのにエンジンが掛からなくなるという事は,燃料が供給不足になっている可能性が高い。とりあえず,次は燃料系を点検してみることにした。
まずはキャブのドレーンを開けてみて異物の混入などをチェックすれば良かったのではないかと今さらながら思うのだが,いきなりキャブの分解を目指してしまった。
まずはトップカウルを外して燃料タンクを外し,フィルターの点検・・・。とりあえず,「部品や工具を海に落下させてしまうのではないか」というプレッシャーがハンパじゃない!もし落下させてしまったら,元の状態にも戻せなくなる・・・。
すぐ近くに漁港のスロープがあるのだが,帰らないでもうちょっと頑張ってみる。フィルターを点検しようとして燃料タンクのホースを外した直後,大変な事になった。
船酔いだ・・・。あっという間に撃沈した・・・。
私は今まで,乗り物酔いをした事がほとんどない。「船酔いってナニ?」みたいな人間だ。釣り船に乗った時も,たくさん食べたり飲んだりしても全く影響がない人間なのだ。酔い止めも飲んだ事がない。
そんな私が,ガソリンの臭いを1~2分嗅いだだけであっさり撃沈・・・。
この時の状況は,
- 海上での初のトラブルと,絶対に失敗してはいけないというプレッシャー
- 分解のため,揺れている中で1点だけを見つめ続ける
- ガソリンの臭い
この3つが同時に重なって,あっという間にやられてしまった・・・。
しばらくの間,ボートの上で仰向けになって休憩。過酷な状況になってきた。少し休憩すると気分も落ち着いてきた。手漕ぎで帰ればいいのに作業を続行する!何事もチャレンジだ!
・・・・・。
船酔いだ・・・。あっという間に撃沈した・・・。
作業再開から5分もたなかった・・・。もう無理だ・・・。
手漕ぎで漁港に戻る・・・。戻るまで,5分程度だった(笑)
私の経験を読んで分かってほしいこと
- 海上での船外機修理は,整備技術に自信があっても無理だと思った方がいい!自信過剰は事故のもと!
- だから普段のメンテをしっかりやって,トラブルを未然に防止しよう!
- あまり遠くまで行かないこと!2馬力ユーザーは,手漕ぎで帰れる範囲で楽しもう!
118番に連絡しても,助けが来るまでに海況が急変したりする可能性だってあります。命あっての楽しい釣り,無理な行動をしないようにお願い致しますm(__)m