ベイトリールでラインを巻くときは,ハンドルを回転させるとスプールが回転する構造になっている。
また,ベイトリールを買うときスペックに良く書いてある情報として,「ギア比」というものがある。
今回は,スプールが回転する仕組みと「ギア比」について考えてみようと思う。
ちなみに今回の検証で使ったベイトリールは,シマノ製「’05メタニウムXT」で,スペックに書かれているギア比は「 6.2 : 1 」だ。
ちょっと内部構造を見てみよう。
今回は,必殺技を使って分解してみようと思う・・・。
・・・・・・・・。
はい,分解完了!みなさんも練習すれば,できるようになると思う(笑)。
とりあえずリールの外装が無い状態にしてみた。
今回はドラグ周辺を省略して考えるので,メインギヤとピニオンギヤが分っていれば大丈夫だ。
動力の伝達経路は単純だ。
ハンドルを回転させるとメインギヤが回転し,メインギヤによってピニオンギヤが回される。
メインギヤの回転方向に対して,ピニオンギヤは逆方向に回転する。
このときクラッチがつながっていれば,スプールはピニオンギヤと同じ方向・同じ速度で回転する。
ギヤの歯数を数えてみると,メインギヤが「74歯」,ピニオンギヤが「12歯」だった。
ハンドルからの動力によってメインギヤが1回転すると,
74 ÷ 12 = 6.1666666・・・・・・
約 6.2 回転する。だからギヤ比は「 6.2 : 1 」となる。
要するに,ハンドル回転数の約6.2倍の速度で,スプールが回転するという事だ。
ギヤ比の割り算が割り切れるように設計してしまうとピニオンギヤとメインギヤの歯が常に同じ場所で接触するようになってしまうため,わざと割り切れなく設計する事で,ギヤの歯がだんだんズレていきながら接触し,偏磨耗が軽減される。
かみ合いギヤでは,定番の手法だ。
自転車のギヤで考えると,大きいギヤで小さいギヤを回すとスピードは出るけど力(回転力)が無くなってくる。
したがって,ギヤ比が大きいほどラインの回収は早くなるが,巻くときに大きな力が必要となる。
「 6.2 : 1 」というギヤ比はシマノでは多くの機種が採用していると思うが,現在はローギヤモデルやハイギヤモデルも多く出ている。
巻くときの速さを重視するか,軽い力で強く巻くのを重視するかで使い分けるのだろう・・・。
ピニオンギヤの歯数は非常に少ないので,これ以上少なくするとギヤの噛み合わせが悪くなり,巻き心地などに影響すると思う。
だから,ハイギヤモデルはピニオンを小さくするよりもメインギヤを大きくして製作しているのではないかと思う。
あくまで推測だが。
もう一つのスペックとして「最大巻取り長さ」がある。
ハンドル1回転で,どれ位のラインが巻けるかという事なのだが,これはギヤ比だけでなくスプール径も関係してくる。
ここでいうスプール径とは実際にラインを巻いた時のライン部分の径の事で,これは糸巻き量によって変わる。
「’05メタニウムXT」の場合だとギヤ比「 6.2 : 1 」なので,ハンドル1回転でスプールが6.2回転。
スプール1回転でスプールの円周分巻かれるため,
ギヤ比×スプール円周=ハンドル1回転での巻き取り長さ
となる。
円周は「直径×円周率」なので,このリールの現在の糸巻き量(スプール径 約32mm)で計算すると,
6.2 × 32 × 3.14 = 622.976(mm)
ハンドル1回転で約62cm巻かれる,という事になる。
「最大巻き取り長さ」の「最大」とは,スプール径がMAXのとき(限界までラインを巻いたとき)の巻き取り長さの事ではないかと思う。
シマノのNEWアンタレスだと,メインギヤとピニオンギヤの歯数を非常に細かく・多くして滑らかな巻き心地を実現しているようだ。
「マイクロモジュールギヤ」と言うらしい。すげ~。
シマノのサイトに「マイクロモジュールギヤ」の画像がある。めちゃめちゃ細かいギヤだ・・・。
シマノのハイギヤモデルだとギヤ比「 7 」が多いと思うが,ダイワの「ジリオン」シリーズなんかだと,ギヤ比「 7.9 」なんてモデルもある。
ハンドル1回転当たりの巻き取り長さは89cmらしい。すげ~。
こういったモデルだとハンドルが重く感じるのではないかと思いきや,ギヤ比「7.9」のハイギヤモデルだけハンドルの長さを長くして(ハンドル長100mm)対応しているようだ。
ロックフィッシュでも活躍してくれそうだなぁ。もう少し安いといいんですけどね・・・。